▧家が傾いた!?沈下修正工事の「土台上げ工法」で大丈夫?メリットとデメリットを解説▧
ある日、ふと家の床にビー玉を置いてみたら、コロコロと片側に転がって止まらない…。「えっ、うちの家、傾いてる?」そんなところから建物の不同沈下を発見したりするものです。
不同沈下とは建物の一部が地盤の沈下によって傾いてしまう現象。放っておくとドアが閉まらなくなったり、窓が開かなくなったり、最悪の場合は建物の構造に悪影響を及ぼすこともあります。進行しているようであれば対策が必要です。
そんなときに検討されるのが「沈下修正工事」👷 前回、前々回と他工法を説明してきましたが今回はその中でも比較的手軽な土台上げ工法について、メリットとデメリットを紹介します!

▧土台上げ工法ってどんな工事?▧
土台上げ工法は建物の基礎と土台の間にジャッキを使って持ち上げ、沈下した部分を水平に戻す方法です。 持ち上げた隙間にはスペーサーや鋼材などを挿入して、建物の落下養生を行います。
この工法は、木造住宅でよく使われていて、地盤に問題がない場合に有効です。ですが基礎が沈むのは地盤に問題あるからなので・・・。
メリット①:工期が短く、費用も抑えられる
土台上げ工法は地盤を掘り下げる必要がないため、比較的短期間で施工可能です。 重機を使わずハンドジャッキなどの手作業中心で行うため、費用も他の工法に比べて安価なのが魅力です。
「できるだけ早く、安く直したい!」という方にはぴったりの選択肢ですね。
メリット②:住みながら工事できることも!
大掛かりな地盤改良工事とは違い、住みながら工事を進められるケースも多いです。 生活への影響が少なく、引っ越しや仮住まいの手間も省けるのは嬉しいポイントですね。
※ただし工事の規模や建物の構造によっては一時的な退去が必要になることもあるので事前の施工計画の確認は大切です。水回りの沈下の場合はライフラインが数日使えなくなる場合もあります。
メリット③:騒音・振動が少ない
重機を使わないため騒音や振動が少なく、近隣への配慮もしやすいです。 住宅密集地や静かな地域でも施工しやすく近所トラブルの心配や気遣いも減ります。

▧しかし!注意!デメリットも多々あります!▧
筆者があまりお勧めしない工法「土台上げ工法」にも弱点があります。以下の点には注意が必要です。理解しないまま工事をすると後で後悔することも!
デメリット①:地盤には対応できない
土台上げ工法はあくまで基礎の上の建物躯体の高さを調整するだけ。 地盤そのものを改良するわけではないので、地盤に問題がある場合は再沈下のリスクがあります。というか今まで下がっていたので今後も沈下が進行する可能性大です💦
土台上げで施工後に「もう大丈夫ですよね?」と聞かれましても「NO...」としか答えられないので💦
特に、液状化の可能性がある地域や、地盤が軟弱な場所では地盤改良工法との併用をお勧めしています。
デメリット②:構造によっては施工できない
鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの建物ではそもそも基礎と躯体の分離が困難なため施工できません。
ほぼ木造住宅で土台のある構造でしか施工できません。そのため事前の構造確認がとっても重要です!

デメリット③:基礎と躯体の接続が弱くなります!
一番の問題は基礎と躯体を縁切りして躯体を水平に戻す工事のため、アンカーボルトが寸足らず、または施工に伴いアンカーボルトを切断することになります!
たとえば建物躯体を5cm上げると仮定すると、基礎から伸びているアンカーボルトはほぼ寸足らずになります。土台の中にアンカーの先端が隠れて座金とナットが締められない状態です。こんな状態で地震でも来たらズレますよね・・・💦縦揺れで躯体がどうなるか想像できますよね💦基礎と躯体を接続する大切な連結金物ですので構造上なくてはならないものです!
筆者も一部分の土台上げは良しとしています。全体はアンカーで固定されて局部的な修正であれば家がズレる可能性も少ないと考えますので。またサイドブレート等の補助的な金具を取り付けます。アンカーボルトより引っ張りには弱いかもしれません。
※筆者の知り合いの曳家岡本さんの土台上げ工事であれば安心です。アンカーの対策も構造的なことも把握して施工しておられますので。能登半島地震の被災地で土台上げの見積もり依頼を受けた際は岡本さんを紹介しています。
しっかりと事前説明ができる信頼できる業者にしっかり調査してもらいましょう!
デメリット④:修正箇所によっては全然安くない!
例えば玄関部分が沈下した場合、土台上げ工事で施工すると土台と立ち上がりが縁切れするので納まっている玄関建具や枠は寸足らずになり破損します。玄関建具を事前撤去復旧を前提に施工しても外壁や土間の補修は必要です。枠は撤去すると再使用できないこともあるのでサッシの買いなおし等、補修工事に大出費することになります。
土台と躯体の両方に納まっている箇所、昔ながらのタイルのトイレ、ユニットバスやタイルの浴室、勝手口のドアも影響します。昔ながらのCB積みの水回りは残念ながらほぼ助かりません!
土台上げ工法でなく基礎ごと持ち上げた方が補修も少なく安価になる場合もあります☝
このあたりの話は施工件数が多い全国でも数少ないプロの業者は把握しています。プロにご相談ください。

▧まとめ:土台上げ工法は「軽症の沈下」におすすめ!▧
土台上げ工法は、比較的軽度な局部的な沈下や、地盤が安定している場合におすすめの修正方法です。 費用や工期を抑えつつ、生活への影響も少ないのが魅力です。
地盤の状態が悪い場合は再沈下する可能性は高いです。「せっかく治したのに・・・」と支払った工事費がムダ金とならないように慎重な判断が必要です。
中には安価で手離れが良いので進めてくる悪質な業者もいると聞きます。
筆者も過去に相談を受けて行った現場であったのですが、すでに他社様で土台上げを施工されて躯体が持ち上げており、工事してすぐ更に基礎の沈下が進んだため基礎ごと上げてほしいと・・・。この場合、土台上げで持ち上げられた躯体をいったん下げてアンカー接続し、そこから基礎を上げます🛠️ そうしないと基礎すら元に戻らない中途半端な施工になります。2度手間で費用が掛かります。施主様は沈下が進行する状況にもかかわらず土台上げを施工した前施工業者を恨んでおられました👹そらそうでしょう・・・。
沈下に気づいたら、まずは『家の傾きLAB』や専門業者に相談することが第一歩。 家の傾きは、早めに対処すればするほど負担も少なく済みますよ!